2007年9月20日木曜日

WebOSはSaaS時代のポータルになれるか

 AjaxWindowsは、既存のWebサービスの多くを直接、間接に呼び出す形になっている。その結果、Webブラウザの中で実現している仮想 的なデスクトップの中に、さらにWebブラウザ(のウィンドウ)が開くという不思議な状態になる。「だったら、はじめからWebブラウザとブックマークで いいじゃないか」と思う読者も多いだろう。

 私もそう思っていたのだが、しばらくWebOSを使っていて、考えが変わった。WebOSの本質は、実はWebサービスをまとめ上げるポータル サービスなのではないか。クライアントOSの代替と考えるから見劣りがするのだ。比較すべきなのは、Webブラウザのウィンドウ内でドラッグ&ドロップや リサイズが可能な“ウィンドウっぽい”インターフェイスを持つ、カスタマイズ可能なポータルサイトではないだろうか。

 そう考えると、WebOSには受け入れられる素地があるのではないかと思えてきた。

 例えば画像データを考えてみよう。撮影した写真はアルバムサービスにアップロードする。簡単な編集機能はアルバムサービスでも提供するだろうが、 今後は本格的な編集アプリケーションがSaaSで登場するだろう。そのとき、わざわざ画像ファイルをローカルにダウンロードして、別のWebサービスに アップロードするなどとは考えづらい。何らかのインターフェイスでオンライン連携することだろう。そうした水平分業や専業化が起こったとき、それらをつな ぐもの、言い換えるとマッシュアップする何かが必要だ。

 今後、複数のWebサービスを連携させて使う機会が増えれば、ユーザーはより自然な形の操作性を望むだろう。マッシュアップはプログラマだけのも のではなくなり、ユーザーはYahoo! Pipesのようにビジュアルで直感的な形で複数サービスをつなぎ合わせることを望むだろう。

 画像に限らず、たいていのサービスにはストレージが必要になる。データベースといってもいいかもしれない。例えば、新たに年賀状サービスに申し込 んだとき、ネット上にある自分のフォトアルバムと、やはりネットで管理している住所録を開き、ドラッグ&ドロップして年賀状を作成するという操作はきわめ て自然だ。

 新しい世代のプラットフォームなのだから、新しいデザインがあってしかるべきという考えもあるし、Webブラウザだけでいいという意見もあるだろ う。しかし、スタートボタン、アイコン、ウィンドウ、ドラッグ&ドロップといった“OS”に対する一般ユーザーの慣れを考えると、SaaSだ、マッシュ アップポータルだと説明するより、見てすぐわかる“ウェブのオーエスです”というメタファーのほうがずっと強力だ。

 タブブラウザのウィンドウサイズは固定的で、しかも基本的には1画面(1ウィンドウ)ずつしか表示できない。切り替えも面倒だ。そうしたUI上の制限も、今後さまざまなWebサービスを使うようになると大きくなってくるのではないだろうか。

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